GC-MSの原理とは?分離・イオン化・質量分析の流れをわかりやすく解説

公開: 2026/10/15 / 更新: 2026/10/15 ・ 編集ポリシー

この記事の要点

  • GC-MSは、成分の分離と質量分析を組み合わせた分析法
  • 保持時間とマススペクトルを用いて成分を推定・確認する
  • CBD製品では測定条件や検出限界を含む分析書の確認が重要

GC-MSとは

GC-MSは「ガスクロマトグラフィー質量分析法」の略称です。GC(Gas Chromatography)で混合物に含まれる成分を分離し、MS(Mass Spectrometry)で各成分の質量に関する情報を測定します。

GCだけでは、成分がカラムから出てくる時間を比較できますが、それだけで物質を確実に識別できるとは限りません。MSを接続することで、分離された成分ごとのマススペクトルを取得し、より多くの情報から物質を判定できます。

GCで成分を分離する原理

試料は注入口で加熱され、気体の状態でキャリアガスとともにカラムへ送られます。カラムの内側には固定相があり、各成分は揮発しやすさや固定相との相互作用の違いによって異なる速度で進みます。

成分がカラムを通過して検出部へ到達するまでの時間を「保持時間」と呼びます。保持時間は成分を見分ける手掛かりですが、カラムの種類、温度、流量などによって変わるため、測定条件とセットで評価する必要があります。

MSで成分を調べる原理

GCから順番に出てきた成分は、MSのイオン源で電荷を持つ粒子に変換されます。代表的な電子イオン化法では、分子に電子を当ててイオン化し、その過程で生じた断片も含めて測定します。

生成したイオンは質量分析部で質量電荷比(m/z)ごとに分けられ、検出器で信号として記録されます。横軸をm/z、縦軸を信号強度として表したものがマススペクトルです。分子の構造によって断片化のパターンが異なるため、標準物質やスペクトルライブラリとの照合に利用できます。

GC-MS分析の基本的な流れ

一般的な測定は、試料調製、GCへの注入、カラムでの分離、イオン化、質量分離、検出、データ解析という順序で進みます。測定目的によって、広い範囲のイオンを調べるスキャン測定や、特定のイオンを選んで追跡する測定方法が使い分けられます。

成分の同定では、保持時間またはマススペクトルだけに頼らず、標準物質との比較など複数の情報を組み合わせることが大切です。含有量を求める定量分析では、濃度が既知の標準液から検量線を作成し、試料の信号と比較します。

CBD製品の分析で見るべき点

GC-MSは、揮発可能な成分や加熱によって測定できる成分の分析に用いられます。一方、試料の性質によっては前処理が必要であり、加熱による成分変化にも注意が必要です。カンナビノイド分析では、目的や対象成分に応じてLC-MSやHPLCなど別の分析法が選ばれる場合もあります。

CBD製品の分析書を見る際は、分析法の名称だけでなく、対象成分、定量下限または検出下限、試験日、試験機関、ロット番号を確認しましょう。「不検出」は成分が完全に存在しないという意味ではなく、採用した方法の検出限界未満であることを示す場合があります。

規制対象成分への適合性は、分析書の一項目だけで自己判断せず、最新の公的情報や検査機関、必要に応じて法律の専門家へ確認してください。

まとめ

GC-MSは、GCで混合物を成分ごとに分離し、MSでイオンのm/zとスペクトルを測定する分析法です。保持時間、スペクトル、標準物質などを組み合わせることで、成分の推定や確認、定量に利用されます。CBD製品の分析結果を読むときは、測定法だけで判断せず、対象成分、検出限界、ロットとの対応、試験条件まで確認することが重要です。

よくある質問

GCとMSはそれぞれ何をしますか?
GCは混合物の成分をカラム内で分離し、MSは分離された成分をイオン化して質量電荷比ごとに測定します。
保持時間だけで成分を特定できますか?
保持時間は重要な手掛かりですが、測定条件で変化します。標準物質やマススペクトルなど、複数の情報を組み合わせて判断します。
分析書の「不検出」とは何ですか?
一般には、採用した試験方法の検出限界未満だったことを示します。対象成分、検出限界、試験条件、ロット番号も併せて確認してください。